ういろうって、全国各地にあったのですね。私は「名古屋」と「京都」のものしか知りませんでした。
特に京都では6月30日に、半年間無病息災で過ごせたことの感謝と、残る半年も無事に過ごせるよう祈りをこめて、上賀茂神社で行われる「夏越祓(なごしのはらえ)」のお菓子としてその名も「水無月」(旧暦6月の別名)という和菓子が売られています。
二等辺三角形の「ういろう」を寝かせた上に、ゆでた小豆をトッピングしたもの。平安貴族が、氷室の氷の上に小豆をのせて食べたのがその起源とされています。
ちなみに「水無月」は京都菓子工業組合の登録商標だそうです。
実はこの「水無月」のういろうが、何度食べても好きになれませんでした。
ういろうと小豆との関係も、私の中では、みつまめの缶詰にある寒天と小豆の組み合わせのような相性の悪さでした。
ういろうの部分が、私の苦手な羊羹に食感が似ていたことも、拍車をかけました。
ところが21世紀に結婚を機に当地へ引っ越してくると、地域的な近さから「山口のういろう」を頂く機会が増えました。
山口といえば「フグ」しか知らなかったので、ういろうも名産と知ったときは正直抵抗がありました。
恐る恐る食べてみると…「ん? ういろうってこんな味だったっけ?」。
まるで、わらびもちのような食感だったのです。
それもそのはず。気になってYahooで調べてみると、名古屋や京都のものは米粉で作られているのに対し、山口のういろうはワラビ粉で作られているとのこと。
京都や名古屋のものとは、原材料が違っていたのです!
ちなみにういろうは、他にも小田原、伊勢(三重)、長田(神戸市)、阿波(徳島)、宮崎に存在するようですが、ワラビ粉を使っているのは、山口のものだけでした。山口のういろうと出合ったことで、奇跡的に好きになれたのですね。